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富良野で相次いだ二つの事故

7月16日、上富良野町のJR富良野線・上富良野〜美馬牛間の踏切で、レンタカーのワゴン車が遮断機のある踏切内の線路上に停止しているところへ、旭川発富良野行きの普通列車が衝突しました。車に乗っていた5人は軽傷、列車の乗客乗員63人にけがはありませんでした。ただし一部区間は3時間以上運転を見合わせ、4本が運休しています。
その4日後の7月20日、今度は富良野市の国道38号線で、レンタカーが対向車線にはみ出したとみられる正面衝突事故が起きました。男女6人が負傷し、うち1人はドクターヘリで搬送されています。
どちらも観光レンタカーによる事故です。
国道38号という道

この二つの事故を、私は他人事として読めませんでした。
国道38号は、狩勝峠を越えて十勝と富良野を結ぶ道です。私がキャンピングカーで道内を走るとき、何度も通ってきた道でもあります。
北海道の国道は、走ってみると分かりますが、直線が長い。見通しがよく、道幅も本州に比べれば広い。だからこそ速度が乗ります。片側一車線の対面通行で、時速60kmの車同士がすれ違うとき、相対速度は120kmになります。センターラインを越えてこられたら、避ける時間はありません。
私が乗っているのはトヨタ・カムロード。キャンピングカーですから、車重があり、車幅もあります。乗用車のように咄嗟のハンドル操作で躱せる車ではない。急ハンドルを切れば、こちらが横転する可能性すらあります。
対向車がはみ出してきたとき、私にできることはほとんどありません。それが正直なところです。
「もらい事故」という言葉の重さ
旅先で事故に遭う、という想像を、これまで私はどこか楽観的にしていた気がします。自分が気をつけていれば大丈夫だろう、と。
でも今回の富良野の事故は、その前提を崩しました。どれだけこちらが安全運転をしていても、対向車線から来るものは防げない。
車中泊の旅は、荷物を積み、水を積み、時には家族を乗せて走ります。一台に生活のすべてが載っている。その状態で正面衝突を受けたらどうなるか——考えたくはないけれど、考えておかなければならないことだと思いました。
数字が示していること
北海道内では、2026年1月から4月までの間に、外国人ドライバーによるレンタカーの人身事故が22件発生しています。前年同期と比べて8件の増加です。道警は、前方不確認や一時不停止による事故が多い傾向を挙げています。
これは感情ではなく、記録された数字です。
行政も動き始めている
国土交通省は7月17日、訪日外国人向けレンタカーの交通安全対策を本格導入すると発表しました。対象は新千歳・福岡・那覇の3空港周辺です。
新千歳空港から主要観光地へ向かう道路などに、右折動線を示すカラー舗装、右折後の対向車線への誤進入を防ぐラバーポール、左側通行を促す看板を、2026年度中に順次設置するとしています。
注目したいのは「右折後の対向車線への誤進入を防ぐ」という一文です。左側通行に慣れていない運転者が、右折した先で反対車線に入ってしまう——これは実際に起きているパターンだから、対策として盛り込まれているのでしょう。
行政がこの問題を認識し、具体的な物理対策に着手したこと自体は、前進だと思います。
それでも残る不安
一方で、いくつか気になることがあります。
貸出時の確認は十分か。 日本で運転できる資格があるかどうかの確認は、制度上は行われています。ただ、書類が揃っているかどうかと、実際に左側通行の道を安全に走れるかどうかは、別の問題です。
賠償は担保されているか。 レンタカーの保険は原則として適用されますが、重大な過失があった場合に免責となる可能性はあります。被害者側から見たとき、確実に補償される仕組みになっているのか。
出国後の責任追及はできるのか。 反則金の納付や損害賠償が完了しないまま帰国された場合、その後の追跡は現実的に難しいはずです。逃げ得になってしまう余地が残るなら、そこは埋めるべきではないでしょうか。
出国時の担保という発想は、決して突飛なものではありません。税の分野では類似の仕組みが既に存在します。技術的に不可能な話ではないはずです。
免許制度について思うこと
外国免許から日本の免許への切替、いわゆる「外免切替」については、2025年10月に制度が厳格化されました。住民票による住所確認が義務化され、以前のようにホテルの住所で申請することはできなくなっています。知識確認の問題数も増え、技能確認も強化されました。
これは改善だと思います。
ただ、日本で免許を取るということが、どれだけの時間と費用を要するかを考えると、まだ差は大きいと感じます。教習所に通い、学科と技能を積み重ね、試験を通る。更新のたびに視力検査を受け、居住実態を確認される。そうやって道路を共有する資格を得ている。
同じ道を走る以上、同じ水準の安全が担保されていてほしい——そう願うのは、過剰な要求でしょうか。
これは国籍の問題ではない
ここまで書いてきて、はっきりさせておきたいことがあります。
問題は、どこの国から来た人かということではありません。日本の道路事情に不慣れな運転者に対して、制度的な備えが足りていない——それが問題の本質です。
日本人であっても、雪道を初めて走る人が冬の道東で事故を起こすことはあります。逆に、日本の交通ルールを十分理解した上で慎重に運転する外国人旅行者も、当然たくさんいます。
責めるべきは個人ではなく、埋めるべきは制度の穴です。
観光は北海道にとって大切な産業です。訪れてくれる人を歓迎したい気持ちに変わりはありません。だからこそ、来る側にとっても、迎える側にとっても、安全な仕組みが必要なのだと思います。
北の大地十勝からひとこと
十勝の道を走っていると、農作業のトラクターが道路に出てくることがあります。地元の人間なら、その速度感も、追い越すタイミングも、体で分かっています。
冬になれば路面は凍り、吹雪けば数メートル先も見えなくなる。夏でも、朝晩は鹿が飛び出してきます。
この土地の道路には、この土地なりの読み方がある。それは免許証の有無とは別に、走り込んで身につくものです。
キャンピングカーで道内を旅するようになって、私は道路というものを以前より意識するようになりました。速度を落とすこと、車間を空けること、無理な追い越しをしないこと。カムロードは急ぐための車ではありません。
それでも、対向車線から来るものだけは、どうにもならない。
今回の事故で怪我をされた方々の回復を願いつつ、この道を走るすべての人が、無事に帰り着けるような仕組みが整っていくことを願っています。私自身も、明日また、ハンドルを握るのですから。
※本記事は報道された事実に基づいて構成していますが、事故の詳細な原因については捜査中のものが含まれます。
tokachi_sky (とかちスカイ)トニー@北の大地十勝 Kita-no-Daichi Tokachi

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