
2026年10月13日の15時30分、私が保有している東武住販(3297)から、カチタス(8919)によるTOB(公開買付け)に賛同し、株主優待を廃止するというお知らせが出ました。
下関の「ふく」を毎年楽しみにしていたホルダーとしては、正直に言って残念です。ただ、TOB価格には大きなプレミアムが付いていて、株主として見れば「悪い話ばかり」でもありません。
この記事は速報として、適時開示で確認できた事実を整理し、ホルダーとしての今後の対応を考えるための記録です。
▶ 前回記事はこちら(2026年9月に届いた優待品)
【株主優待】東武住販(3297)|下関の「ふくカレー」と「ふく茶漬」が到着(2026年)
1. 速報のポイント(まず結論)
- カチタス(東証プライム・8919)が、東武住販を完全子会社化するTOBを発表
- 買付価格は1株2,000円(公表前営業日の終値1,159円に対し72.56%のプレミアム)
- 買付期間は2026年10月14日〜12月3日、決済開始は12月10日
- 東武住販の取締役会は賛同・応募推奨を決議
- 成立すれば上場廃止の見込み
- 株主優待は、2027年5月31日基準分から廃止(TOB成立が条件)
- 2027年5月期の期末配当は実施しない(無配、TOB成立が条件)
2026年9月に届いた「ふくカレー」と「ふく茶漬」が、TOBが成立すれば最後の優待品になる見込みです。
2. TOBの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 買付者 | 株式会社カチタス(東証プライム・8919) |
| 対象 | 株式会社東武住販(東証スタンダード・福証Q-Board・3297) |
| 目的 | 完全子会社化(上場廃止を前提) |
| 買付価格 | 1株につき2,000円 |
| プレミアム | 10/9終値1,159円に対し72.56% |
| 買付期間 | 2026年10月14日〜12月3日(35営業日) |
| 決済の開始日 | 2026年12月10日 |
| 買付予定数の下限 | 1,776,600株(所有割合65.56%) |
| 買付予定数の上限 | なし |
| 買付代金 | 約54億円 |
| 公開買付代理人 | 大和証券 |
| 東武住販の意見 | 賛同・応募推奨 |
下限の1,776,600株に届かなければTOBは不成立になります。ただし、後述のとおり大株主の応募契約がすでに結ばれています。
3. なぜTOBに?背景を整理
きっかけは創業社長の事業承継
開示によると、きっかけは筆頭株主で創業社長の荻野利浩氏が、事業承継を見据えて保有株の譲渡を申し出たことです。
荻野社長(保有38.66%)、荻野社長のご家族の資産管理会社(5.11%)、配偶者(1.24%)の3者・合計45.01%が、全株をTOBに応募する契約をカチタスと結んでいます。
東武住販が示した「非公開化の理由」
2026年5月期の売上高は約77億円で、第3次中期経営計画の目標(75億円)を上回りました。一方で、次のような事情が挙げられています。
- 原材料の価格高騰・供給不安で、第4次中期経営計画の公表を延期していた
- 営業人員の採用・育成、仕入や工事管理の強化が課題
- 上場を維持したまま改革を進めると、短期的な業績悪化で株価が下がり、株主に悪影響が出るおそれがある
そこで、カチタスグループの採用・人材育成・仕入や工事管理のノウハウを活かせる非公開化が、企業価値の向上に資すると判断したそうです。
カチタス側の狙い
カチタスは全国153店舗で中古住宅の再生・販売を行っており、M&Aを成長戦略に掲げています。東武住販の中国・九州の地域密着ネットワークを取り込み、仕入と販売の基盤を強化する狙いです。
東武住販は、TOB後も独立した法人として商号・ブランドを維持し、店舗の大規模な統廃合や人員削減は現時点で想定していないとされています。
二級建築士・宅建士の資格を持つ私から見ても、空き家が増える今、中古住宅の再生という事業は時代に合っていると感じます。会社そのものは、この先も続いていきそうです。
【画像:東武住販の優待品(ふくカレー・ふく茶漬)(20260903-toubujyuhan_9961.jpg)】
4. 2,000円は妥当?価格交渉の経緯と算定結果
価格は3回引き上げられた
| 時期 | カチタスの提案価格 |
|---|---|
| 9月16日 | 1,700円 |
| 9月28日 | 1,800円 |
| 10月1日 | 1,900円 |
| 10月6日 | 2,000円 |
東武住販の特別委員会は10月8日に2,090円を要請しましたが、カチタスは「これ以上は応じられない」として、10月9日に2,000円を最終提案し、受諾されました。初回提案から300円の引き上げです。
第三者機関の算定
| 算定機関 | 手法 | 1株あたりの価値 |
|---|---|---|
| AGS FAS(東武住販側) | 市場株価法 | 1,159〜1,196円 |
| AGS FAS(東武住販側) | DCF法 | 1,819〜2,487円 |
| 大和総研(カチタス側) | 市場株価平均法 | 1,159〜1,196円 |
| 大和総研(カチタス側) | 類似会社比較法 | 1,333〜3,186円 |
| 大和総研(カチタス側) | DCF法 | 1,306〜2,745円 |
2,000円は、東武住販側のDCF法のレンジ内に収まっています。
また、経産省の指針公表後の非公開化TOB 176件(MBO等を除く)のプレミアム中央値は、前営業日終値に対して約45%でした。今回の72.56%はそれを上回ります。
気になる点
- 双方とも、価格の公正性に関するフェアネス・オピニオンは取得していない
- 少数株主の過半数の賛成を成立条件とするマジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されていない
とはいえ、独立した特別委員会が設置され、全員一致で「少数株主にとって不利益ではない」と答申しています。
5. 株主優待と配当はどうなる?
廃止される株主優待の内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 優待内容 | 自社営業エリアにゆかりのある食品 |
| 100株以上 | 3年未満:1,000円相当/3年以上:2,000円相当 |
| 1,000株以上 | 3年未満:2,000円相当/3年以上:3,000円相当 |
| 権利確定日 | 5月末日(年1回) |
| 発送時期 | 8月末〜9月上旬 |
2027年5月31日を基準日とする優待から廃止されます。つまり、2026年5月末基準で9月に届いた優待が最後になる見込みです。
配当は無配に
2027年5月期の期末配当も実施しない方針です。前回記事の時点では、1株43円(配当利回り約3.8%)の配当が続く想定でしたので、配当+優待の「インカム」はなくなることになります。
どちらも「TOBが成立すること」が条件です。
株価の反応
ザイ・オンラインによると、発表直後のSBI証券のPTS(夜間取引)では、一時、制限値幅の上限である1,460円まで上昇しました。今後はTOB価格の2,000円に近づく展開が見込まれています。株価は日々動きますので、最新の値を確認してください。
6. 過去の優待品を振り返る(2024〜2026)
| 年 | 優待品の内容 |
|---|---|
| 2024年 | ふぐのお茶漬け・焼ふぐキューブ(創業40周年) |
| 2025年 | ふぐの旨煮、だし茶漬けまふく |
| 2026年 | ふくカレー(株主様ご優待限定)、ふく茶漬3袋入 |
下関では「ふぐ」ではなく「ふく(福)」と呼ぶことを、2026年の記事で紹介しました。毎年少しずつ中身を変えてくれる、地域色の濃い優待でした。
2026年の優待品の賞味期限は2027年6月です。最後になるかもしれない優待品は、大事にいただきます。
なお、同封されていた株主アンケート(QUOカード500円分が抽選100名、回答は10月31日まで)は、まだ回答できる期間です。
7. ホルダーとしての今後の対応
現時点で考えられる選択肢は、大きく3つです。
| 選択肢 | 内容 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| ① TOBに応募する | 12/3までに応募。決済は12/10開始 | 代理人は大和証券。自分の証券会社での応募方法・手数料は各社で異なる |
| ② 市場で売却する | 上場している間に売却。株価はTOB価格に近づく見込み | 2,000円を下回る水準で推移する可能性がある |
| ③ 応募せず保有 | 最終的にスクイーズアウト(株式売渡請求または株式併合)で同額の現金に | 優待・配当は見込めず、上場廃止の時期は90%到達の可否で変わる |
③について、カチタスの議決権が90%以上になれば株式売渡請求、90%未満なら2027年2月上旬めどの臨時株主総会で株式併合を行う予定です。いずれの場合も、応募しなかった株主に交付される金額はTOB価格(2,000円)×保有株数と同額になる予定とされています。
私の現時点の考え
買付期間は12月3日までと長く、慌てて動く必要はありません。まずは次の点を確認してから決めます。
- 自分が使っている証券会社での、TOBへの応募方法・手数料・受付期限
- 保有している口座(特定口座・NISA・源泉徴収の有無)ごとの扱い
- 最新の株価と、TOB価格との差
- 税金の取り扱い(私はFP3級ですが、最終的には税理士や証券会社に確認します)
【ここに、実際の対応が決まったら追記します】
数字のイメージとして、100株なら2,000円×100株=約20万円です。10/9終値(1,159円)なら約11.6万円でしたので、差は約8.4万円。これまでの「配当約4,300円+優待1,000〜2,000円相当」を十数年分受け取るのに匹敵する金額です。
もちろん、優待や配当を長く楽しむつもりで持っていた人にとっては、複雑な気持ちになる話だと思います。
8. 今後のスケジュール
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月13日 | TOB・優待廃止の発表 |
| 2026年10月14日 | 買付期間の開始 |
| 2026年10月31日 | 株主アンケート(QUOカード抽選)の回答期限 |
| 2026年12月3日 | 買付期間の終了 |
| 2026年12月10日 | 決済の開始 |
| 2027年2月上旬(目途) | 臨時株主総会(90%未満の場合の株式併合) |
| 上場廃止 | スクイーズアウトの手続後 |
日程は、今後の開示で変更される可能性があります。最新の情報は、東武住販・カチタスの開示でご確認ください。
9. 過去の受取記録・参考記事
- 【株主優待】東武住販(3297)|下関の「ふくカレー」と「ふく茶漬」が到着(2026年)
- 【株主優待】ふぐの旨煮、だし茶漬けまふく『東武住販(3297)』(2025年)
- 【株主優待】株主優待年間一覧(受取月別リスト)
- 【株主優待】株主優待企業LIST(会社別リスト)
- note版:【株主優待】ふぐの旨煮、だし茶漬けまふく(2025年)
- note版:【株主優待】ふぐのお茶漬け、焼ふぐキューブ 創業40周年(2024年)
10. まとめ
- カチタスが東武住販を1株2,000円で完全子会社化するTOBを発表(10/14〜12/3)
- 東武住販は賛同・応募推奨。成立すれば上場廃止の見込み
- 株主優待は2027年5月31日基準分から廃止、2027年5月期の期末配当は無配(いずれもTOB成立が条件)
- 2026年9月に届いた「ふくカレー」「ふく茶漬」が最後の優待品になる見込み
- ホルダーの選択肢は「応募」「市場で売却」「応募せず保有(最終的に同額の現金)」の3つ
- 応募方法や税金の扱いは、証券会社の案内・税理士で必ず確認
優待がなくなるのは残念ですが、毎年ふくを届けてくれた東武住販には感謝しています。TOBの進み具合や私の対応が決まったら、この記事に追記していきます。
11. 出典
- 株式会社東武住販「株式会社カチタスによる当社株券に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(2026年10月13日・PDF)
- 株式会社カチタス「株式会社東武住販(証券コード:3297)の株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2026年10月13日・PDF)
- 東武住販、カチタスTOBで上場廃止へ 創業者が承継で売却|M&A Times
- 東武住販(3297)、株主優待を廃止!|ザイ・オンライン
- 株主優待制度|IR情報|株式会社 東武住販
12. 免責事項
本記事は個人の記録および感想であり、特定の銘柄の売買やTOBへの応募を推奨するものではありません。TOBの条件・日程、株主優待の内容、株価、配当などの情報は変更される場合があります。応募方法や税金の取り扱いは、証券会社・税理士等にご確認のうえ、投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任においてお願いいたします。
tokachi_sky(とかちスカイ)トニー@北の大地十勝 Kita-no-Daichi Tokachi


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