地中海クルーズの出発が近づき、いよいよ海外への玄関口となる羽田空港を使う日が迫ってきました。
調べ始めてみると、羽田空港は「ただ飛行機に乗る場所」というには惜しいほど、歴史も、設備も、最新の取り組みも盛りだくさんでした。そこで今回は、出発前の予習を兼ねて、羽田空港を総合的にまとめてみます。

この記事でわかること ・羽田空港の歴史(1931年の開港から現在まで) ・3つのターミナルの使い分け ・国際線ターミナル(第3ターミナル)の施設 ・国際線の路線の現状 ・顔認証(Face Express)など新しいシステム ・アクセスの現状と、これからの鉄道計画
※情報は2026年11月3日時点で調べた内容です。ダイヤや設備は変わることがあるため、ご利用の際は必ず公式サイトや航空会社の案内をご確認ください。

羽田空港の「いま」を数字で見る
まずは、羽田空港の規模感を数字で確認しておきます。
・2025年度の総旅客数:約9,234万人(前年度比4.0%増) ・うち国内線:約6,709万人 ・うち国際線:約2,524万人(前年度比6.0%増、初めて2,500万人超え) ・2026年3月の国際線旅客数:約229万人(過去最高を更新)
国際線の旅客の内訳をみると、2026年5月は外国人が約131万人、日本人が約74万人で、外国人がおよそ6割を占めています。羽田は日本人の海外旅行の玄関口であると同時に、訪日客を迎える入り口にもなっています。
また、航空データ分析会社OAGの2026年「世界のハブ空港ランキング」(国際線の接続性を評価したもの)では、羽田空港は8位に入りました。世界の主要ハブのひとつとして評価されていることになります。
羽田空港の歴史|1931年の「東京飛行場」から現在まで
年表でたどる羽田空港
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1931年(昭和6年) | 「東京飛行場」として開港。日本初の国営の民間航空専用飛行場 |
| 1945年(昭和20年) | 連合国軍が接収。周辺住民は48時間以内の退去を命じられる |
| 1952年(昭和27年) | 大部分が返還され、「東京国際空港」に改称 |
| 1964年(昭和39年) | 東京モノレール開通(東京オリンピックの年) |
| 1970年(昭和45年) | ジャンボ機が就航 |
| 1978年(昭和53年) | 成田空港が開港し、国際線の多くが成田へ移転(国内線の空港に) |
| 1984〜2007年 | 沖合展開事業。空港の面積が約2倍に |
| 1993年(平成5年) | 「ビッグバード」(現・第1ターミナル)完成 |
| 1997年(平成9年) | 新C滑走路供用開始。24時間運用で深夜・早朝便が始まる |
| 2010年(平成22年) | D滑走路と新国際線ターミナルが開業。10月31日に国際定期便が再開 |
| 2020年(令和2年) | 国際線ターミナルが「第3ターミナル」に改称。第2ターミナルでも国際線の取り扱いを開始 |
| 2026年(令和8年) | 第1ターミナル北側サテライトが9月1日に供用開始 |
日本初の国際線の乗客は「虫」だった?
開港した1931年8月25日には、のちの羽田空港にあたる東京飛行場から、中国の大連へ向けて国際便が飛び立ったと伝えられています。ところが、その最初の乗客は人ではなく、約6,000匹のスズムシとマツムシだったそうです。運賃が高く、一般の乗客が集まらなかった時代の面白いエピソードです。
所要時間は約12時間。今の羽田からのフライトと比べると、隔世の感があります。
面積は約30倍近くに拡大
国土交通省の資料によると、開港当時の面積は約53ha(滑走路1本・300m)でした。現在は約1,500haを超え、滑走路は4本(最長3,360m)です。
戦後の拡張やD滑走路の建設など、海を埋め立てながら、何度も姿を変えてきた空港であることがわかります。
【画像:羽田空港の歴史がわかる写真または年表(ファイル名)】
3つのターミナルの使い分け
羽田空港には3つの旅客ターミナルがあります。2020年3月に、それまでの「国際線ターミナル」が「第3ターミナル」に名前を変え、同時に第2ターミナルでも国際線の取り扱いが始まりました。
| ターミナル | 主な利用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1ターミナル | 国内線(JAL、スカイマークなど) | 1993年開業の「ビッグバード」。2026年9月に北側サテライトが開業 |
| 第2ターミナル | 国内線(ANA、AIRDO、ソラシドエア)と国際線の一部 | 2020年から国際線にも対応 |
| 第3ターミナル | 国際線の大部分 | 24時間運用。江戸小路や展望デッキなど |
国際線は「第2ターミナルと第3ターミナル」の2か所で運航されています。航空会社や便によってターミナルが違うので、ご自身の航空券で必ず確認してください。
ターミナル間の移動
第1ターミナルと第3ターミナルは、距離にして約3kmほど離れています。移動手段は次のとおりです。
・無料連絡バス:約5分 ・京急線・東京モノレール:約3分(国内線と国際線を乗り継ぐ場合、条件を満たせば無料の乗継乗車票がもらえる)
国内線から国際線へ乗り継ぐ方は、「どのターミナルに着いて、どこへ向かうのか」を事前に確認しておくと安心です。ANAの案内では、第3ターミナルの国内線乗り継ぎ検査場の利用時間が2026年2月1日から変更されました(11:30〜13:30は利用不可で、無料連絡バスを利用)。時間帯によって動線が変わる可能性があるため、利用予定の航空会社の最新案内をご確認ください。

国際線ターミナル(第3ターミナル)の施設
海外へ向かう際の中心となる第3ターミナルは、24時間運用されています。
基本の動線
・出発ロビーは3階、到着ロビーは2階 ・チェックインカウンターは3階に並ぶ ・京急線・東京モノレールの駅と直結
国際線は、チェックインの締め切りが出発の45〜60分前という航空会社が多いものの、出国審査や保安検査も含めると、出発の2〜3時間前に着くのが目安とされています。
江戸小路と展望デッキ
第3ターミナルの名物が、江戸の町並みを再現した「江戸小路」です。和食や寿司の店、お土産店などが並んでいて、出国前に日本らしい雰囲気を楽しめます。
展望デッキは24時間開放されていて、世界各国の航空会社の機体を間近に見られます。早朝や深夜の便でも利用しやすいのが魅力です。

【画像:江戸小路または展望デッキの写真(ファイル名)】
深夜・早朝の過ごし方
第1・第2ターミナルは深夜に閉館しますが、第3ターミナルは24時間開いているため、早朝便の前に空港で過ごすことも可能です。近くには羽田エアポートガーデン(温浴施設やホテルなどが入る複合施設)もあり、第3ターミナルと連絡通路でつながっています。
その他、第2ターミナル直結の「羽田エクセルホテル東急」や、第1ターミナルの「ファーストキャビン羽田」などの宿泊施設もあります。
便利な設備
・無料Wi-Fi「HANEDA-FREE-WIFI」 ・両替、銀行ATM、クリニックなど(第3ターミナル1階) ・第1ターミナル1階の「羽田航空神社」(旅の安全祈願に) ・第2ターミナル展望デッキの「星屑のステージ」(夜になるとLEDが点灯)
※店舗の営業時間は店ごとに異なります。深夜早朝に利用したい場合は、事前に公式サイトで確認すると確実です。
国際線の路線の現状
国土交通省によると、2026年冬期スケジュール(2026年10月25日〜2027年3月27日)の国際定期便は、130社(日本の航空会社9社、外国の航空会社121社)から申請があり、認可されました。
全体の傾向
・冬期当初(10月25日〜31日の週)の運航便数は週6,094.5便で、前年同時期より約2%減 ・中国路線は大幅に減少(約49%減) ・韓国、台湾、香港、マレーシア、インドなどのアジア路線や、欧州路線で便数が増加 ・主要5空港のうち、羽田は前年同時期より約2%増
つまり、国全体では中国路線の減少が目立つ一方、羽田は増えている状況です。
具体例(JALの2026年度冬期計画から)
JALの発表では、羽田発着の路線として次のような例があります。
・ニューヨーク(1日2往復・A350-1000で運航) ・ロンドン(1日2往復・A350-1000で運航) ・パリ(1日1往復・A350-1000で運航) ・ヘルシンキ(1日1往復) ・バンコク(1日2往復)
※運航計画は関係国政府への申請と認可が前提で、最新情報は各社の案内で確認する必要があります。
新しいシステム・取り組み
顔認証「Face Express」
羽田空港の国際線で、近年とくに話題になっているのが顔認証による搭乗手続き「Face Express」です。NECの顔認証技術を使ったもので、2021年4月に実証実験が始まり、現在はJALなどの国際線で利用できます。
仕組みはこうです。
・チェックイン時に、パスポートと顔を照合して顔情報を登録する ・その後の手荷物預け、保安検査場、搭乗ゲートでは、パスポートや搭乗券の提示が不要になる ・歩きながら顔を撮影して照合するため、待ち時間の短縮につながる
ただし、便の状況によっては使えないことがあります。利用できる条件(年齢や身長など)も定められているので、航空会社の案内で確認してください。
2026年8月に国土交通省の会議で示された日本空港ビルデングの資料でも、Face Expressの利用促進が取り組みの柱のひとつとして挙げられています。
【画像:Face Expressの登録端末(ファイル名)】
保安検査は国の実施に
2026年4月1日から、羽田空港の国際線の保安検査は、それまでの航空会社による実施から、空港管理者である国による実施に移行しました。
また、羽田空港の国際線の保安検査場では、一部でCT型の手荷物検査装置とスマートレーン(複数人が同時に準備できて、追い越しも可能なレーン)が導入されています。検査場によって運用が異なるため、液体物やパソコンの取り出しが必要かどうかは、現地の案内に従ってください。
自動運転のランプバス実証
日本空港ビルデングの資料では、空港内の地上を走る「ランプバス」(飛行機まで乗客を運ぶバス)の自動運転実証も取り組みのひとつとして紹介されています。将来的には、人手不足への対応などにもつながっていきそうです。
第1ターミナル北側サテライト(2026年9月開業)
2026年9月1日、第1ターミナルの北側に「北側サテライト」が供用を開始しました。1993年の開業以来、第1ターミナルの大規模な拡張は今回が初めてです。
・搭乗橋を備えた6つのスポット(24〜29番)を新設し、バスでの移動を減らす ・羽田空港で初めての木造・鉄骨ハイブリッド構造 ・一方で、保安検査場から搭乗口まで徒歩で最大約16分(約1km)かかる場合がある
国内線を利用する方は、時間に余裕をもって移動するのがおすすめです。
なお、第2ターミナルでも、北側サテライトの延伸部分が2027年春ごろに開業する予定です。
【画像:北側サテライトの写真または案内図(ファイル名)】
アクセスの現状と、これからの鉄道計画
現在のアクセス
羽田空港には、東京モノレールと京急線の2路線が乗り入れています。第3ターミナルへは、どちらも駅から直結です。
・京急線:品川駅から最速で約11分 ・東京モノレール:浜松町駅から約18分
2031年度開業予定「JR羽田空港アクセス線」
JR東日本が建設を進めている「羽田空港アクセス線」は、2031年度の開業をめざしています。
・東京駅から羽田空港まで最短約18分で結ぶ「東山手ルート」(宇都宮線・高崎線・常磐線方面からの直通も計画) ・新木場方面から結ぶ「臨海部ルート」も同時開業をめざす ・新駅は第2ターミナル近くの地下に整備される
注意したいのは、新駅が第3ターミナル(国際線)とは直結しない点です。JR東日本は、第3ターミナルへは東京モノレールとの乗り換えの利便性を高める方向で検討していると説明しています。
東急新空港線(蒲蒲線)
東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ「東急新空港線」についても、2025年10月に鉄道事業が許可されました。2030年代以降、羽田空港へのアクセスは大きく変わっていきそうです。
豆知識:空港の地下には「もう一つの鉄道」が
羽田空港の敷地内には、実は3つめの鉄道路線が通っています。普段は貨物列車だけが走る東海道貨物線です。旅客用の2路線とは別に、空港の下を貨物の鉄道が通っているというのは、意外な発見でした。
羽田空港のこれから
羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデングは、2026〜2030年度の中期経営計画で、次のような方向性を示しています。
・第2ターミナル国際線施設の増改修 ・第1ターミナルの国際化の検討 ・最終的に第1ターミナルと第2ターミナルを接続し、国内線と国際線の乗り継ぎ機能を強化
現在は、国内線と国際線でターミナルが分かれていて、便によってはターミナル間の移動が必要です。今後は、乗り継ぎのしやすさが大きなテーマになりそうです。
出発前のチェックポイント
私自身の出発前の確認として、次の点を押さえておきます。
・搭乗するターミナルを、航空券と航空会社の案内で確認する ・国際線は出発の2〜3時間前を目安に到着する ・国内線から乗り継ぐ場合は、ターミナル間の移動方法と時間を確認する ・Face Expressが利用できるか、航空会社の案内を確認する ・保安検査場では、現地の案内に従って荷物を準備する
まとめ
羽田空港は、1931年に300mの滑走路1本の飛行場として始まり、戦後の接収、国内線専用の時代、沖合への拡張、そして2010年の国際線再開と、何度も姿を変えてきた空港でした。
いまは3つのターミナルが役割を分け合い、顔認証や自動運転など新しい取り組みも進んでいます。2031年度には、JRのアクセス線の開業も予定されています。
これから海外へ出かける方は、「搭乗ターミナルの確認」と「時間に余裕を持つこと」の2点だけでも意識しておくと、安心して出発できると思います。
■出典・参考 ・羽田空港の歩み(大田区):https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/haneda_airport/rekishi/hanedakuko_ayumi.html ・東京国際空港の沿革(国土交通省 関東地方整備局):https://www.pa.ktr.mlit.go.jp/kyoku/work/pdf/09/m01.pdf ・羽田空港について(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/koku/haneda/archive/news/i/20180306_02.pdf ・8月25日 民間航空機が初の海外飛行(現代ビジネス ブルーバックス):https://gendai.media/articles/-/66529 ・羽田空港の2025年度旅客数・2026年の月次旅客数(Aviation Wire):https://www.aviationwire.jp/archives/345202 ほか ・2026年冬期スケジュール 国際定期便の概要(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/koku/content/002028409.pdf ・JAL 2026年度冬期 国際線運航計画:https://press.jal.co.jp/ja/items/uploads/5a66c0822eee008f0127df32ee4feb851577da53.pdf ・2026年 世界のハブ空港ランキング(トラベルボイス):https://www.travelvoice.jp/20260918-160539/print ・Face Express(JAL):https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/faceexpress/index.html ・Face Express運用開始(NEC):https://jpn.nec.com/press/202103/20210325_02.html ・羽田空港における取組状況(日本空港ビルデング・国土交通省資料):https://www.mlit.go.jp/koku/content/002018800.pdf ・羽田空港第1ターミナル北側サテライト(日本空港ビルデング):https://tokyo-haneda.com/site_resource/whats_new/pdf/000017638.pdf ・JAL、羽田空港1タミ北側サテライトを9月から利用開始(トラベルWatch):https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/2130492.html ・羽田空港での乗り継ぎのご案内(ANA):https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/prepare/airport-guide/international/hnd-transit/ ・羽田空港アクセス線と東京モノレール(乗りものニュース):https://trafficnews.jp/post/652364 ・羽田空港アクセス線の進捗(タビリス):https://tabiris.com/?p=62920 ・東急新空港線に鉄道事業許可(タビリス):https://tabiris.com/archives/tokyu-shinkuko202510/ ・羽田空港の地下を通る貨物線(鉄道コム):https://www.tetsudo.com/column/1657/ ・羽田空港ガイド(トラベリスト):https://travelist.jp/airport_HND/guide/posts/p911
■免責事項 本記事は、2026年11月3日時点で公開されている情報をもとに、個人の旅の準備として調べた内容をまとめたものです。ダイヤ、設備、利用条件などは予告なく変更されることがあります。ご利用の際は、必ず羽田空港や各航空会社などの公式サイトで最新の情報をご確認ください。
tokachi_sky(とかちスカイ)トニー@北の大地十勝 Kita-no-Daichi Tokachi

コメント