【防災の日】応急危険度判定士とは?北海道の更新申請の流れを解説【2026年】

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9月1日は「防災の日」。1923年(大正12年)の関東大震災にちなんで定められた日です。

その防災の日を過ぎたタイミングで、北海道建築士会から一通の封筒が届きました。中身は「応急危険度判定士 認定更新手続きのご案内」。私の認定証を確認すると、たしかに令和8年度末(2027年3月31日)で有効期限を迎えるタイミングでした。

じつはこの更新手続き、令和7年度から大きく変わって格段にラクになっています。せっかくの機会なので、

  • そもそも応急危険度判定士とは何をする人なのか
  • 北海道の更新申請の具体的な流れ

この2つを、実際に届いた書類をもとに整理してみます。

防災全般の備えについては、こちらの記事にまとめています。

【防災対策】地震・洪水・土砂災害・台風・暴風などの自然災害に対する備えをしましょう

応急危険度判定士とは?わかりやすく解説

応急危険度判定士とは、大地震のあとに被災した建物を調べ、「余震で倒れる危険があるかどうか」をその場で判定する建築技術者のことです。

ポイントは「余震で」という部分です。大きな地震のあとには必ず余震が来ます。ところが本震で傷んだ建物は、見た目には立っていても、次の揺れで一気に倒れることがある。住んでいる本人にはその判断ができません。

そこで市町村の要請を受けた判定士が現地に入り、2人1組で外観を中心に調査し、建物の使用の可否を情報提供する。これが応急危険度判定です。

北海道の制度は平成8年3月にスタートしました。きっかけは前年の阪神・淡路大震災です。日本で初めて応急危険度判定が実施された災害でした。

判定は「赤・黄・緑」の3色ステッカーで表示

判定結果は、建物の見やすい場所にステッカーを貼って表示します。

判定意味
危険倒壊・落下の危険が大きい。立ち入りは危険
要注意立ち入る場合は十分注意が必要
調査済被災の程度は小さく、使用可能と判断される

このステッカーは「危険な建物を見つけること」だけが目的ではありません。緑を貼ることにも大きな意味があります。

地震のあと、自宅が無事なのかどうか不安で避難所に行く人は多い。でも避難所生活は体にも心にも負担がかかります。「この家は大丈夫ですよ」と専門家が判断を示すことで、安心して自宅に戻れる人を増やす。これも判定の重要な役割です。

「罹災証明書」の調査とは別物です

ここは混同されやすいので、はっきり分けておきます。

  • 応急危険度判定……地震直後、二次災害を防ぐための緊急調査。危険かどうかを判定する。無料・ボランティア
  • 被害認定調査(罹災証明書用)……市町村が後日行う調査。全壊・半壊などを認定し、支援金や税の減免の根拠になる

赤い紙が貼られたからといって、それが「全壊認定」を意味するわけではありません。あくまでその時点で近づくと危ないですよというお知らせです。

判定士はボランティア、でも補償はある

判定士の活動はボランティアです。報酬を得る仕事ではありません。

ただし丸腰で行かされるわけではなく、全国被災建築物応急危険度判定協議会が補償制度を設けています。判定活動中の傷害保険(死亡・後遺障害は上限2,000万円)や、賠償責任保険(支払限度額1億円)が用意されています。被災地は足場も悪く、危険と隣り合わせの活動になるためです。

資格要件(北海道の場合)

道内在住で、次のいずれかに該当する方が対象です。

  • 建築士(一級・二級・木造)
  • 建築基準適合判定資格登録者
  • 特定建築物調査員
  • 建築施工管理技士(一級・二級/技士補も可)
  • 官公庁の建築技術職員で建築行政等の実務経験者(5年以上)
  • 地方独立行政法人の建築に係る研究職員で震災建築物調査等の実務経験者(5年以上)

私は二級建築士なので、この枠での認定です。

実際の災害現場でどう動いたか

制度の話だけだとピンとこないので、実績を挙げます。

  • 平成28年 熊本地震……道内判定士を含む約6,800人が参加し、約57,000棟の建築物について判定を実施
  • 平成30年 北海道胆振東部地震……道内判定士が9月7日から9月12日までの6日間で、延べ108名が判定に従事

胆振東部地震はまさに北海道での出来事です。厚真町の大規模な土砂崩れの映像を覚えている方も多いと思います。あのとき、道内の建築士たちが現地で建物を1棟ずつ見て回っていたわけです。

近年も能登半島地震(2024年)をはじめ、各地で大きな災害が続いています。「いつか」ではなく「いつでも」起こりうる。それが今の日本の現実です。

【本題】北海道の更新申請の流れ

ここからが本題。届いた案内をもとに、更新手続きを整理します。

令和7年度から更新がこう変わりました

まず大前提として、令和7年10月1日の制度改正で手続きが大幅に簡略化されました。

項目改正前改正後(現在)
更新時の講習会受講が必要受講義務は廃止
認定証用の顔写真必要不要
旧認定証の返納必要不要(自分で破棄)
申請方法郵送・持参メール提出も可
有効期限の表記認定証の表面裏面に更新年度を追記

改正前は更新のたびに札幌まで講習を受けに行く必要がありました。十勝から日帰りはなかなかの移動です。それが書類の提出だけで済むようになったのは、地方在住の判定士にとってかなり大きい変更です。

更新申請5ステップ

ステップ1:自分が更新対象かを確認する

対象になるのは認定の有効期限が満了する年度を迎える方です。

確認方法は、認定証の裏面(第二面)にある「更新記録」欄を見るだけ。私の場合、第1回の欄に「令和2年度受講/令和8年度末日まで有効」と記載がありました。つまり今年度(令和8年度)が更新年度ということになります。

ステップ2:申請書類2点を用意する

提出するのは、たったこれだけです。

  1. 応急危険度判定士認定更新(再認定)申請書(第4号様式)
  2. 応急危険度判定士登録者カード(第14号様式)

※認定証の提出、顔写真の提出はどちらも不要です。

様式は次の2か所からダウンロードできます。

  • 北海道ホームページ「応急危険度判定士の認定制度について」のページ
  • (一社)北海道建築士会ホームページ

ステップ3:申請書に記入する

第4号様式で記入する主な項目です。

  • 申請日/住所/フリガナ・氏名(宛先は「北海道知事 様」)
  • 生年月日・性別
  • 連絡先(自宅TEL・携帯TEL)
  • メールアドレス(要記入)
  • 勤務先名・勤務先所在地
  • 緊急連絡先
  • 血液型(RH+/-まで)
  • 認定登録情報の提供の有無(同意する/しないを丸で囲む)

「血液型」「緊急連絡先」という欄があるのが、この資格の性格を物語っています。被災地での活動を前提とした登録なんですね。

なおメールアドレスは必須です。制度改正で、認定や更新に関する連絡は原則メールで行われるようになったためです。ここを空欄にすると次回の案内が届きません。

※「※」印の欄(受付欄・認定番号など)は記入しないこと。

ステップ4:(一社)北海道建築士会 本部へ提出する

提出方法は3通り。好きなものを選べます。

提出先はこちらです。

〒060-0042
札幌市中央区大通西5丁目11番地 大五ビル6階
一般社団法人 北海道建築士会
TEL:011-251-6076

メール提出時の最重要ポイント

申請書は必要事項を記入したうえで、PDFに変換せず、Wordファイルのまま添付してください。

これ、うっかりやりがちです。役所関係の提出物は「PDFにしてから送る」のが習慣になっている人が多いと思いますが、この申請は。Wordのまま送るのが正解です。案内文にも太字級の注意書きがありました。

申請時期は有効期間満了年度内であれば随時。締切に追われるものではありませんが、忘れないうちに済ませるのが吉です。

ステップ5:新しい認定証を受け取る

認定証は普通郵便で送られてきます。書留ではないので、届いたら郵便物の中に紛れていないか注意しましょう。

新しい認定証が届いたら、旧認定証は自分で破棄します。返納は不要です。

有効期限が切れてしまっていたら?

「気づいたら期限が過ぎていた」という場合も、あきらめる必要はありません。

**「再認定申請」**という手続きがあり、更新申請とまったく同じ書類を提出すれば手続きできます。再認定でも講習会の受講は不要です。

うっかり失効しても復活できる。これも改正の親切なところです。

参考:新規で取得したい方の流れ

これから判定士になりたい方は、更新とは流れが異なり認定講習会の受講が必要です。

項目内容
受講方法現地集合講習(札幌会場・年2回)またはWeb講習
Web講習制度編(約16分)+技術編(約59分/2本)を視聴。申込不要、随時受講可
現地集合講習の申込受講申込書(第2-1号様式)を建築士会本部へ提出
申請書類認定申請書(第1号様式)+資格を証明する書類の写し+登録者カード(第14号様式)
申請のタイミング講習受講後。現地集合講習なら当日申請も可能

Web講習が導入されたことで、道内どこに住んでいても新規取得できるようになりました。これも大きな前進です。北海道建築士会の会員であれば、Web講習受講でCPD単位の登録も可能です。

十勝の判定士は187名という現実

北海道の登録状況を見て、少し考えさせられました。

道内の有効登録者数は2,518名(令和7年3月31日現在)。そのうち石狩地区が1,250名と、ちょうど半数を札幌圏が占めています。

そして十勝は187名

広大な十勝平野に187名。もし十勝で大規模地震が起きたら、この人数で管内の建物を見て回ることになります。もちろん他地区や道外からの応援も入りますが、発災直後の数日間——余震の危険がもっとも高い時間帯に動けるのは、地元にいる判定士です。

応急危険度判定は「余震の発生が懸念される数日間のうちに迅速に実施する必要がある」とされています。スピードが命の活動なんですね。

だからこそ、資格を持っている人間が失効させずに更新し続けることそのものが、地味だけれど確実な地域貢献になる。今回の案内を受け取って、あらためてそう思いました。

まとめ

北海道の応急危険度判定士 更新申請のポイントを整理します。

  • 対象:認定の有効期限が満了する年度を迎える人(認定証の裏面で確認)
  • 講習:令和7年度から受講不要
  • 書類:第4号様式+第14号様式の2点のみ(認定証・顔写真は不要)
  • 提出先:(一社)北海道建築士会 本部(メール・郵送・持参)
  • メール送付時PDF化せずWordのまま添付
  • 時期:有効期間満了年度内に随時
  • 失効後:「再認定申請」で同じ書類により復活可能

そして応急危険度判定士とは、地震のあと、余震による二次災害から人を守るために動くボランティアの建築技術者です。赤・黄・緑のステッカーで建物の危険度を伝え、危ない建物から人を遠ざけ、安全な家には安心して戻ってもらう。

防災は非常食や備蓄だけではありません。こうした人の仕組みも、災害に備える社会インフラのひとつなのだと思います。

私も忘れないうちに、書類を用意することにします。

関連記事・参考リンク


※本記事は2026年9月時点で北海道および(一社)北海道建築士会が公表している情報、および筆者に届いた案内文書をもとに作成しています。制度は改正される場合がありますので、実際の申請にあたっては必ず北海道ホームページおよび(一社)北海道建築士会の最新情報をご確認ください。手続きに関する個別のご相談は各窓口へお願いいたします。

tokachi_sky(とかちスカイ)トニー@北の大地十勝 Kita-no-Daichi Tokachi

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